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介護保険での無料低額制度 老人保健施設柏ケ丘

2017-11-02 無料低額診療制度適応事例

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 A氏は80代で要介護5の男性です。現役時代に国民年金の保険料が払えず無年金。疎遠だった息子とは、2年前にA氏の妻の葬儀で再会し、それ以来2人で暮らしています。その後、A氏は自力では動けなくなり他院に入院後、中央病院へ転院。入院費の未払いをきっかけに2人の生活状況が明らかになりました。

 息子は正規雇用の会社員ですが、別れて暮らす子どもの養育費や借金の返済で生活はギリギリでした。ソーシャルワーカーが介入し、無料低額診療の利用で治療は続けられましたが、生活の困難は変わりません。解決策として、特別養護老人ホーム(特養)への入所を提案。A氏だけ住民票を特養に移して、息子は単独で生活保護を受給する方針をもちました。そして、特養入所までの間、老人保健施設「柏ヶ丘」で待機することになりました。

生活の場と認められない「老健」

 しかし、老健は特養と同じく生活の場であるにもかかわらず、A氏だけ世帯を老健に移すことは出来ず、生活保護の受給は困難となりました。現在の生活保護制度では、「老健は元の生活に戻るためのリハビリ施設」とされているためです。結局、A氏世帯は「無料低額介護」の対象と判断され、金銭的な負担なく、入所継続ができました。
 さらに、これまで放置していた歯の治療も受けることができました。

 息子は「面会に来るガソリン代も大変だったので助かりました」と。A氏も「リハビリでこんなに元気になれるとは思わなかった」と喜んでいました。その後、特養に入所して無事に生活保護を受給することができました。

 この事例では、現行制度で救いきれない事例があることを改めて実感しました。柏ヶ丘は、札幌市内で唯一、「無料低額介護」を実施している老健です。この制度を広く知らせ活用すると同時に、これ以上の医療・介護の自己負担増をやめさせ、お金の心配なく安心して医療・介護が受けられる社会保障の充実が求められます。